外部ツールを使用せずにSSD換装を行ってみたときの記録です。
Windowsの機能だけでOSクローンってできるの?
PCのキッティングについて調べていると、dismでOSイメージを展開しているのをよく目にします。
キッティングに関するノウハウを書いた記事の内容やdismの性質を考えると、dismを使えばOSのクローンができそうな予感がします。
というわけで普段はサードパーティーソフトやデュプリケーターを使用して行っているSSD換装をdismを使ってやってみようと実験してみました。
ここへ来てはいけない!
結論を先にいうとdismを使ってSSDのクローンは可能です。
で す が、割と難易度高めです。
それなりにWindowsの知識が必要です。
コマンドを使って色々とシステムの大事な領域をいじるので最悪OSが起動できなくなる可能性があります。
自身の責任において作業を行い、自分の環境に応じてコマンドを適宜読み替えることが必要があることを留意の上、作業を行うようお願いします。
特別な理由がない限り外部ツールに頼ってクローンしたほうがいいと思います。
検証環境についてのいろいろ
SSD 500GBにインストールされているWindows11 homeを新品のSSD 500GBにクローンしていきます。
今回の記事では実験ということで実用を考えていません。
そのため元SSDに存在する回復領域はコピーしません。
回復領域もコピーしたい場合は、この記事で書いてある内容を応用する必要があります。
(回復領域の下りを読んでまったくイメージが湧かないという場合、この方法を行うのに十分な知識がない可能性が高いです。多分ひどい目に遭うのでまた今度来てください。ほんとにどうなっても知らないよ!)
作業の全体的な流れと用意するもの
5つの工程でクローンを行います。
- クローン元のWindowsをWIMとしてキャプチャする
- WindowsPEを用意する
- WindowsPEからクローン先のSSDのパーティション割り振りを行う
- 1でキャプチャしたWIMをクローン先に展開する
- クローン先SSDからブートができるようにブート情報を調整する
用意するもの
- USB(8GB以上)
- 外付けのドライブ (空き容量それなりに沢山)
WindowsPEを作成するためにUSBメモリが必要です。
WindowsPEさえ作れればいいので容量小さくても問題ありません。
ですが、PE使用後の利便性を考えて8GB以上のものを用意することをおすすめします。
外付けドライブはOSイメージであるWIMの保存先として使用します。
OSイメージの容量によっては100GBを超えてくると思うので外付けHDDのような大きな容量があるものがおすすめです。
1.クローン元からWIMをキャプチャする
クローン元のPCで管理者権限でコマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを打ちます。
dism /capture-image /ImageFile:Z:\original.wim /CaptureDir:C:\ /name:windows11 /Compress:fast /CheckIntegrity
コマンドの意味:
Cドライブの内容をZドライブ直下にoriginal.wimというファイル名でwimとして書き出す。
2.WindowsPEを用意する
WindowsPEを用意してください。
PEを作るのが面倒であればおそらくWindowsのインストールメディアでも代用可能だと思います。(この記事ではWindowsPEを使ったので動作未検証)
WindowsPEの作り方はこちらを参考にしてください。
※外部リンク 取得日:2023/2/15
Windows11用のWinPEブート媒体を作る方法
3.クローン先にパーティション割当を行う
PEからクローン先のSSDに対してパーティションを作ってあげます。 ディスクパートを起動して以下のコマンドを打ちます。
クローン先のSSDをフォーマットするのでデータが全て消えます。
選択するSSDを間違えないようクローン先以外のSSDの接続を切って作業すると安全です
# クローン先をgptディスクとしてフォーマット
sel disk 0
clean
convert gpt
# efiパーティションの作成
create part efi size=100
format quick fs=fat32 label="system"
# マイクロソフトシステム予約領域の作成
create part msr size=16
# Cドライブになるパーティションの作成
create part primary
format quick fs=ntfs
assign letter=C:
# DISKPARTの終了
exit
4. キャプチャしたイメージの展開
クローン先のパーティションを割り振ったら今度はそこにWIMを展開してデータを配置していきます。
以下のコマンドを打ちます。
dism /apply-image /imagefile:z:\original.wim /index:1 /ApplyDir:C:\
コマンドの意味:
Zドライブにあるoriginal.wimをCに展開する。
コマンドが終わると、新SSDが元SSDと同じフォルダ構成担っていると思います。
5. 起動情報の調整
手順4までで見かけ上は元SSDと新SSDは同じになりましたが、最後に新SSDが起動ドライブであるということを設定してあげる必要があります。
DISKPARTでまずはefiシステムパーティションにアクセスできるようにします。
# 新SSDを選択
list disk
sel disk X
# efiシステムパーティションにドライブレターを付与
list vol
sel vol X
assign letter A:
# diskpartを終了
exit
これでefiシステムパーティションがAドライブとして認識されるようになりました。
A:\efi\microsoft\bootにBCDを作成します。 以下のコマンドを打ちます。
bcdboot C:\windows /s A:
コマンドの意味:
Cを起動OSとするBCDをAドライブ内に作成
これで新SSDへクローンは終了です。
色々と勉強にはなった
普段ソフトや機材でお手軽に行っていたSSD換装ですが、自力で行ってみると大変でした。
この知識を応用すればOEM回復領域の吸い出しや、システムのバックアップの選択肢の1つとして使えそうです。
UEFIの挙動やNVRAMとブートマネージャーの関係性などまだよく分かっていないことが多いと感じたので引き続くき色々と実験していこうと思います。